2018年 09月 12日
犬の家族日記19 「ペプシの椅子」 |
ペプシの椅子
ノイさんの家には、ちょっと偉そうな大きな籐の椅子がありました。それは、引っ越していったお友達から譲ってもらったものですが、まぁ、それは、老齢のどっぷりとした紳士が葉巻を吹かしながら、足を組んでゆったりと座るとさまになるような椅子でした。
ノイさんは、
「おい!それは人間の椅子だろ」
と言って、しばしばペプシを外に追い出しました。特に、寝る時は、犬を外に追い出すのですが、朝起きると、ペプシが籐椅子に寝ているのです。ノイさんはきっこに言いました。
「全部、閉めておいたのに、ペプシが入って寝てるぞ! どうせお前が入れたんだろ」
きっこは口を尖らせました。
「全部、閉めたわよ。ペプシだって外に出したわよ」
全く不思議なことでした。
ある晩、2階の寝室に上がってから耳を澄ましていると、下でガタンガタガタ・・・と音がし始めました。きっこが起きて、こっそり見に行くと、ペプシが、窓を前脚で引っ掻いて上手に開けると、細い体を必死に鉄格子の枠の中をくぐらせ、真剣な顔で家に入ってくると、例の「ペプシの椅子」に上がりこんだのです。ペプシはいつの間にか、自分で窓を開けられるようになったのでした。きっちり鍵を閉めない限りは・・・窓は横開きではなく、外からは手前に引いて開ける窓なのですが、ペプシは何度も何度も前脚で引っ掻き、隙間が空くと、グイッと手前に引いて器用に開けることができるようになったのです。ペプシはまんざらバカではありませんでした。
実のところ、きっこは、夜、ペプシが「ペプシの椅子」で寝ているのを見ると、妙に安心しました。だから、鍵はあんまりかけませんでした。
「なんで、ペプシは椅子で寝なくなったんだろう?」
ある日、きっこがノイさんにいうと、ノイさんは、
「椅子が汚いんだろうよ。犬も汚いところで寝るのは嫌なのさ」
と言いました。そこで、きっこは、椅子の上にのっていたマットレスを日に干し、カバーも洗ってかけ直しました。椅子も綺麗に掃除して、
「ほーら、見てよ。ペプシ、綺麗になったよ」
と、わざわざペプシを抱いて、椅子に乗せました。それから、またペプシは椅子になるようになったのです。
ノイさんの家には、ちょっと偉そうな大きな籐の椅子がありました。それは、引っ越していったお友達から譲ってもらったものですが、まぁ、それは、老齢のどっぷりとした紳士が葉巻を吹かしながら、足を組んでゆったりと座るとさまになるような椅子でした。
ペプシはその椅子が大好きで、いつからかその籐の椅子が、ペプシの定席になっていました。だから、それをきっこたちは、「ペプシの椅子」と呼ぶくらいでしたが・・・でも、ペプシの座り方があまりにも・・・お下品なのでした。ペプシは、お腹を出して仰向けにひっくり返り、股を大きく開いておちんちんをおっぴろげ、口を半開きにして、クゥ〜〜と、その立派な籐椅子の上で寝るのです。どう見ても無防備で、忠犬にはふさわしくない格好でした。
「おい!それは人間の椅子だろ」
と言って、しばしばペプシを外に追い出しました。特に、寝る時は、犬を外に追い出すのですが、朝起きると、ペプシが籐椅子に寝ているのです。ノイさんはきっこに言いました。
「全部、閉めておいたのに、ペプシが入って寝てるぞ! どうせお前が入れたんだろ」
きっこは口を尖らせました。
「全部、閉めたわよ。ペプシだって外に出したわよ」
全く不思議なことでした。
ある晩、2階の寝室に上がってから耳を澄ましていると、下でガタンガタガタ・・・と音がし始めました。きっこが起きて、こっそり見に行くと、ペプシが、窓を前脚で引っ掻いて上手に開けると、細い体を必死に鉄格子の枠の中をくぐらせ、真剣な顔で家に入ってくると、例の「ペプシの椅子」に上がりこんだのです。ペプシはいつの間にか、自分で窓を開けられるようになったのでした。きっちり鍵を閉めない限りは・・・窓は横開きではなく、外からは手前に引いて開ける窓なのですが、ペプシは何度も何度も前脚で引っ掻き、隙間が空くと、グイッと手前に引いて器用に開けることができるようになったのです。ペプシはまんざらバカではありませんでした。
実のところ、きっこは、夜、ペプシが「ペプシの椅子」で寝ているのを見ると、妙に安心しました。だから、鍵はあんまりかけませんでした。
ある時、ペプシが、椅子で寝なくなりました。階段の下に置いてある丸い足拭きマットの上に、丸くなって寝るようになったのです。ペプシはその小さな敷物に乗ると、何度かぐるぐると回転して、うまく自分の身体が収まるようにして座るのですが、もくろみが外れて、お尻が敷物から出てしまったりしていると、また立ち上がって、またクルクルと回ってやり直すのです。
ある日、きっこがノイさんにいうと、ノイさんは、
「椅子が汚いんだろうよ。犬も汚いところで寝るのは嫌なのさ」
と言いました。そこで、きっこは、椅子の上にのっていたマットレスを日に干し、カバーも洗ってかけ直しました。椅子も綺麗に掃除して、
「ほーら、見てよ。ペプシ、綺麗になったよ」
と、わざわざペプシを抱いて、椅子に乗せました。それから、またペプシは椅子になるようになったのです。
ところが、今度は、ペプシの定席が、小さなパンダに奪われ始めたのでした。おかしなことに、パンダも、その椅子では、まるでペプシみたいに、仰向けになって、女の子だというのに、大きく股を開いて、グゥ〜っと寝入るのです。
by pochiboxerkuro
| 2018-09-12 17:38
| 犬